ついにこの日がやってきた。
昨年からずっとリーダーのマツは「来年は20周年」とファンの耳にすらタコができるくらい何度も何度も口にしていた。
そんな記念すべき20周年。
THE BACK HORNは全国をツアーでまわり、最後の集大成として日本武道館で3度目のライブを行うことを決定。
いつもは天気が悪くなることで若干有名なTHE BACK HORNのライブだが本日は曇り空の中全国各地から日本武道館にファンが集まっていた。
かくゆう筆者も遠征組だった。
物販は2時開始だった為、3時頃に到着したのだが長蛇の列。
まあ1時間程度で買えるだろうかなんて思いは甘かったと後悔した。
結果買えたのは開演時間の6時を超えたあたりだった。
丁寧すぎるほど丁寧に手渡しで物販購入者おそらく全員にイケベ楽器の岡峰光舟の冊子を配布。
帰宅してから拝見させてもらったが岡峰光舟の今までのベース(moonのオーダーメイド)の内容でファンやベーシストからするとなかなかに嬉しい冊子であった。
そのほかにもファンクラブの銀河遊牧民会員限定でポスター、アルバム購入者限定で今までの楽曲タイトル全てをメンバーが手書きしたてぬぐいも配布。
これまた筆者のお気に入り。
物販では20周年グッズの入ったガチャなどもあり、特別感が漂っていた。
開演すると同時に、ベースの岡峰光舟が描いた狼が今までTHE BACK HORNがリリースしてきた音源のジャケットの中を颯爽と走り去る映像が。
ああ、この音源が出たとき自分はああだった、こうだったと皆浸れるような粋な計らい。筆者も当時の思い出が走馬灯のように駆け巡った。
会場の一万人はいるであろうファン達の手拍子に迎えられメンバー登場。
記念すべき3度目の武道館、記念すべき20周年の締めくくりの始まりの最初に奏でられたのは「その先へ」だった。
曲が始まるとともにステージ前からは火炎が吹き出し、
「世界が動き出した 1998」
THE BACK HORNが結成された頃のことを歌っているのではと思われるこの曲のこの歌詞で一気に感極まり、涙腺が崩壊した。
その日から20年、彼らは一度も歩みを止めることなくずっとこの音楽シーンで走り続けてきた。
ほかのバンドでももちろんそうなのだが、それがどれだけすごいことなのかはロックファンならわかるはずだ。
脱退、メンバーの死、解散、活動休止。
20年のなか止まったり無くなってしまったバンドが、20年ずっと続いてきたバンドと比べてどれほど多いのか。
そして20年とゆう歳月なにかを続けるとゆうことがどれほど難しいことかを。
MCをすることなく曲はぶっ通しで進む。岡峰光舟のベースの指板には赤いLEDが埋め込まれておりそれがライトに反射したり暗闇の中で輝いたりしているのが印象的だった。
そして圧倒的な歌唱力と表現力で歌い続ける山田将司。
凍りつくように寒い今日、彼の喉の調子は最高とは言い難いものだと初めは感じていた。
けれどその乾いている喉から美しい獣のように彼は声を捻り出して、捻り出して、最後には決して掠れさせるだけの歌声ではなくなって。
そんなのもう観客は惹きつけられるしかなかった。
はやくMCを挟んだほうがいいのでは、とこちらが心配になるくらいその乾いた喉からでる勇ましくも美しい歌声で疾走し続ける。
「ジョーカー」では、いまもし喉が壊れてしまっても彼は歌い続けるのではないかとゆう気迫を見せつけられ、鳥肌が立った。
生きる才能、笑う才能。自分にはこれがないと思って生きてきた人の心にそっと寄り添って、立ち上がれるようになったときには背中を押してくれる。THE BACK HORNにはそういった力があると思っている。
「悪人」ではミュージックビデオとはまた違った映像、おそらくルドンの惡の華のイメージと思われる雰囲気。
「お腹を裂いて出ておいで」とゆう歌詞もあるのでもしかしたら精子が卵巣の中を駆け巡っているイメージだったのかもしれない。
こういったダークな中に最後は救いがあるのがTHE BACK HORNの魅力だなあとしみじみ思った。
「コワレモノ」では今では定番となってきた「神様だらけの スナック」のコールアンドレスポンス。
この歌詞でコールアンドレスポンスをしているのはおそらく世界広しといえどTHE BACK HORNだけだろう。だがそこがいい。
MCではドラムの松田晋二が「みなさんこの20年、それぞれ色んなバックホーンとの出会い方あったと思います。アルバムとか、色んな精神状態とか」と言ったのが印象的だった。
精神状態とゆう言葉がでてくるところがまさにTHE BACK HORNらしいとゆうべきか。彼らはこの20年決して明るい歌詞ばかりではなく、生と死について歌い続けてくれた。
ベース岡峰光舟は前二回もそうだったように柔道の話を披露し、ギター菅波栄純は勢いのままに喋り後に「意味のわからないこといっちゃってすみません!」と謝罪するとゆういつも通りのゆるさも見せてくれた。
ボーカル山田将司は雨男ぶりを本日は発揮しなかったことをネタにしつつ、長く丁寧に今までの20年の想いを話してくれたように思う。
「みんながここまで生きてくれたおかげで俺たちもここまでこれた」といったニュアンスの内容のMCのあとの「初めての呼吸で」
「死んでやると飯を焚きながら 日々を越える」この歌詞が筆者はとても好きだ。
まさにこうゆう一人暮らしをしている、してきた若者達の心にそっと寄り添い続けてくれたことで何人が救われたのだろう。
自分もその1人だ。
「シンフォニア」では歌詞の「帰る場所」を「日本武道館」とかえて歌いあげ、山田将司はよくライブの終わりに「生きて、また会おうぜ」といってくれていて、今日もそういって締めくくってくれた。
その言葉を支えに何度も何度も辛い日々を越えてきたファンが今日はここに集まっている。
この20年いつだってTHE BACK HORN がライブをしてくれていたから。
そしてその先へ、その先へ、THE BACK HORNもファンも進むのだ。
まだ、ここでは死ねないのだから。
セットリスト
その先へ
ブラックホールバースデイ
サニー
罠
ジョーカー
ひとり言
悪人
雷電
コワレモノ
初めての呼吸で
ヘッドフォンチルドレン
美しい名前
未来
Running Away
グローリア
シンフォニア
コバルトブルー
刃
冬のミルク
ハナレバナレ
無限の荒野