2000年代の邦楽ロックシーンの代表格3バンドはまさにこの3バンドだったと思っている。
私の青春時代は音楽雑誌を読み漁りながらラジオを聴き、深夜の音楽番組を見て、コピーバンドに明け暮れていた。そこにいつもあった音楽は紛れもなくこの3バンドで、統計したら今までライブに参戦したのもこのバンド達のライブが1番多いのではと思う3バンド。
当時のフロントマン達は3人とも自分で自分のことをジャイアンだというくらい、ギラギラして、意固地で、我が道をゆくバンドマンだった。
それでいて何故かこの3人はとても仲が良かった。似た者同士だからなのか、それぞれ互いの音楽に魅力を感じてなのか、我々は知る由もないが、このナナイロエレクトリックツアーでホリエアツシが言っていたように「お互いにしのぎを削ってやってきた、いいライバル」だったのだろう。
10年の時を経て帰ってきたELLEGARDENを温かく迎えるのではなくおかえりの想いを込めて「迎えうとうぜ」とゴッチはホリエに言ったとゆう。
当時10代から20代前半だった現在平均30代のファン達は今回のツアーが発表されたとき発狂ものだったのではないだろうか。
チケットは転売防止がしっかりととられており、公演まで日がないのにリセールまでやってくれた。7000円でこの3バンドが一気にみれるなんて、1バンド2300円くらいだなんて、実質無料なのでは(オタクはすぐ実質無料と思ってしまうやつ)
全3公演のこのツアーは、公演で出演順が違い、今回の愛知での一発目はASIAN KUNG-FU GENERATIONだった。
煌びやかな照明の中、静かに、それでいて雄大にクロックワークで始まった。
気持ちよく音楽に身体を委ね、思い思いに手を掲げる観客達。そんな観客達の想いに呼応するように青春の一曲「君という花」。
ラッセーラッセ!の掛け声で一つになる。ラジオで好きになったこの曲。カラオケで歌詞にない部分も歌っていた人が多いのではないだろうか。
エモーショナルになったところで「リライト」「ソラニン」がその気持ちに拍車をかける。
浅野いにおのソラニンを読んだとき、この曲のイメージはアジカンだった。そんなアジカンが本当にソラニンを歌ったとき驚いたし、それでいて最高だと思ったのを思い出す。
映画版の宮崎あおいさんのカバーはこれまた最高だったんだよなと思っていると、MCで「宮崎あおいバージョンのほうが人気あるんだよね(笑)」とゴッチに言われ、ちょっと笑ってしまった。
けれどホリエがそのとき言ったように「歌わない女優さんの宮崎あおいさんが特別に歌ったんだよ。そんな曲をおたくら作っちゃったんだよ」
アジカンが作ったからこそ、より一層光ったソラニンだ。「時代が追いついてきたね」とゴッチは笑った。
「今日はメガネしてないんだね、最近俺(ゴッチ)に寄せてると噂の(笑)」
「(笑)今日してない(笑)あと髭も蓄えたらもうほんと寄っちゃうから髭だけは生やさない(笑)」
と仲の良さをMCで感じさせてくれた。
そんなホリエアツシをゲストに迎え、去年リリースした「廃墟の記憶」
終始楽しげに歌う2人がとても印象的だった。
「また別の大切な友達の曲をやります、ART-SCHOOLでFADE TO BLACK」
同じように下北沢のライブハウスで切磋琢磨してきた仲間のART-SCHOOLの曲。木下理樹を若干意識していたような歌い方と、映像に酔いしれた。
「この3バンドでやれる日がくるなんて夢みたいでほんとに嬉しいです。ずっとこんな日がこないかなと少しだけ期待はして生活してきたけど、まさかこんなに早く実現するなんて」
「久々にライブに来た人もいると思うけど、また自分の時間がおちついたらライブハウスに戻ってきてよ。俺たち10年後もきっと鳴らしてるからさ。じいさんばあさんになっても音楽好きでいたいね」
昔のアジカンを彷彿とさせつつ、今のアジカンを見せつけてくれたライブだった。
セットリスト
1.クロックワーク
2.君という花
3.リライト
4.ソラニン
5.廃墟の記憶
6.FADE TO BLACK(ART-SCHOOLカバー)
7.サイレン
8.Easter
9.ボーイズ&ガールズ
2番手は、大阪公演ではトリだったELLEGARDEN。10年以上ぶりに見るファンも未だ多かったのではないだろうか。駅から来る道のりでも圧倒的にELLEGARDENのTシャツを着ている人が多かった。
私はこの10年なにかとELLEGARDENのTシャツをフェスやライブに着ていったが休止の年月がたてばたつほど、あんなに多かったELLEGARDENのTシャツを着た人々が減っていっていたのを見てきた。
だからこそ、こんなにもELLEGARDENを愛してる人達がまだまだライブにくるんだなあと勝手に感慨深くなってしまった。
昔と変わらないFire crackerのopeningで心に火が着くようだった。
ものすごいoiコールが会場に響き渡る。そのまま流れるようにFire cracker、Space sonic。
後ろのブロックなんてこと関係がないと言わんばかりにフロアが盛り上がる。頭上に人が飛び交う。筆者も気づけば宙を舞っていた。
続いての高架線でこれでもかと響き渡るシンガロングともっと歌ってくれと煽る笑顔の細美武士。変わらないELLEGARDENが帰ってきたのをしみじみと感じた。
「こんばんは、ELLEGARDENです!」いつもの挨拶から始まった。それだけで涙が出そうだった。
「15年ぶりにナナイロエレクトリックツアー開催できて、本当にありがとうございます!アジカンがさ、主催バンドなのに一発目やってくれて…ほんといい奴らなんだよ。なんかさ、キヨシとかヤマちゃんとかほんと空気がさ優しいのね。おはよう。みたいな(笑)愛を感じるというか。俺の周りそういった人あんまいないから(笑)いるのはほら、、トシロウ(brahman)とかね(笑)」
「そんな優しい人達の気持ちがこもったライブをさっき見てて、今日俺たちがすべきことがはっきりした。アジカンが最高のライブで繋いでくれたこのバトン、このバトンを一度たりともおとすことなくストレイテナーにわたします。どうぞよろしくお願いします!」
フロアの熱に油を注ぐようなSupernovaでより一層ダイバーが増える。Pizza manでペパロニクアトロをずっと叫びたかった、風の日でシンガロングしたかった人達が一体ここにはいくらくらいいたのだろうか。とてつもない一体感と多幸感でライブは進んでいく。
各メンバーから一言ずつの挨拶が済むと
「再結成して、こんなに愛されてたんだなって実感したけどさ、復活マジックとやらもさ、いつまでも続かないから毎度毎度、過去最高のライブをこれからも更新していきたいと思うのでよろしくお願いします!」
これからもやってくれる、この感覚を感じれただけで本当にこの場にこれてよかったと思った。
「いないと思うけどさ、わたしは細美さんの歌を聴きにきたんです!って人がいたらさ、それはそれでいいと思います。認めます。けどかわりに「俺は10年ぶりにあいつと会ったんだから一緒に歌いてえんだよ」って人のことも許してあげてもらっていいですか。」
そう言って始まった終わりの歌、Make a wish。ここにいる多くの人達が空で歌詞を歌えるくらい、愛された名曲。
どうか君の歩く道すがら誰かが手を握ってくれますよう、そんな願いの歌。
ラストはこのナナイロエレクトリックツアーの表題曲といってもいい「虹」にゲストボーカルゴッチを迎えて幕を閉じた。
昔のナノムゲンで自分が見世物になっているような感覚、お前らここで俺がステージから飛び降りたら楽しいだろ、みたいな心境まで追い詰められていてギターも折ってしまった細美さんを救ってくれたのは、その時のお客さんの合唱とゴッチが貸してくれたギターだったと昔言っていたのを思い出す。
「これ以降のツアーの神様になるよ。」その言葉と優しさがあの頃ささくれだっていた彼を救ってくれたのではと思っている。
そんな2人での虹。
フロントマン3人が一緒に虹をみたことから創り出されたこの曲は、辛い今があってもそれも糧として過去として、未来を歩いていける歌。
こうして15年以上時を積み重ねてきた3バンドを表したかのような歌だなと改めておもった。
セットリスト
1.Fire cracker
2.Space sonic
3.高架線
4.Supernova
5.Pizza man
6.風の日
7.Red hot
8.ジターバグ
9.Salamander
10.Make a wish
11.虹
大トリはストレイテナー。
開始早々ホリエが
「みんなアジカンとエルレで昇天してない?賢者モードになってない?(笑)」と笑いを誘う。
「ストレイテナー、始めます!」
早々に音楽の嵐、「Melodic storm」で会場の熱気を再び引っ張り上げる。
15年前くらいにでたこの曲は今ではストレイテナーの代名詞といっても過言ではない。
そのまま「冬の太陽」でみんな手を掲げる。ELLEGARDENともASIAN KUNG-FU GENERATIONともまた違う幸せな空間。
「20年近くの付き合いになるゴッチと細美くんにはいつも助けてもらってて、そして俺も助けたり支えたりできてたらいいなって思ってます。…15年前は絶対こんなこと言わなかったんだけど、今日来てくれた1人1人がみんな幸せになってほしいと本気で願ってます。冬の愛の歌をします、灯り。」
ホリエアツシのそんな気持ちを乗せたような曲。
「この3バンドは本当に仲が良いんだけど、対バンするときはばちばちにしのぎを削ってきたんですよ。大阪で細美くんが「ゴッチもホリエくんも今日はいい日だいい日だってゆってたけど俺は対バンてのはタイマンする、喧嘩するつもりできてるからなって。嬉しくて。だからこれからもこの3バンド、ライバル同てだってやっていきます。ありがとうございました!」
思い出が蘇るような新曲、吉祥寺、夏を思わせる名曲シーグラスで一旦幕を閉じたストレイテナー。
アンコールはまさかのゴッチをゲストボーカルに迎えてのKILLERTUNE。
名前通りのキラーチューンぶりを大いに見せつけた。
「踊ってくれ!」
最近のアレンジより昔よりのアレンジのKILLERTUNEは久々だ。楽しげに高らかに歌うゴッチが最高にマッチしていた。
ラストのラストでは、まさかのフロントマン3人でのROCKSTEADY!
細美とホリエの組み合わせでは何度かみたことのあるこのコラボが今回は豪華に3人で歌い上げる。
我が道を行く3人のフロントマンの歌の掛け合い、同じステージに今この瞬間立っているとゆうことが我々ファンの心を大満足させていく。
「情に流されずに僕は前に突き進むんだ」という意味が込められていたこの歌は、今までずっと走ってきたこの3バンドにふさわしい。
バンドにとってもファンにとっても最高の夜がまた一つ増えたのは間違いないと思うそんな夜だった。
セトリ
1.Melodic storm
2.冬の太陽
3.Braver
4.Reminder
5.灯り
6.スパイラル
7.吉祥寺
8.シーグラス
アンコール
1.KILLER TUNE
2.ROCKSTEADY